取材や視察の絶えないフリースクールがある。全国から様々な人が訪れる理由とは。

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以前ご紹介したフリースクール・学習塾「学びの森」を運営する北村さんから、嬉しいお便りが届きました。9月下旬頃、朝日新聞で生徒一人ひとりに焦点をあてた記事「いま子どもたちは」が連載されるとのこと。春から夏にかけて、記者の方が子どもたちの話を聞きに何度も足を運んでこられたそうです。

そういえば、北村さんはお会いする度に「こないだ、こんな人が来てね……」というお話を聞かせてくださいます。メディアの取材に限らず、色々な方が訪ねてくる学びの森。現役の学校教師、大学の研究者、NPO代表、雑誌編集者……人々がどこに魅力を感じ、何を求めて学びの森を訪れるのか、今日はその理由を探っていきたいと思います。

[前回記事]  学校の外にも、子どもたちが自由に学べる場を増やしていきたい。│学びの森

どこに相談がきても最適な支援ができる、地域の体制作り

学びの森さんにお伺いする少し前のこと、北村さんが手掛ける脱ひきこもり支援プロジェクト「なんたんユースHUB」が京都新聞で紹介されていました。まずはそのお話から伺うことに。

京都府から依頼を受けて北村さんが立ち上げた「なんたんユースHUB」は、「教育」「就労」「福祉」「家族」の各分野で活動する不登校・ひきこもり支援団体をつなげるネットワーク。団体間の連携により、どこに相談に来てもらっても最適な支援サービスを提案することができるようになりました。

実は、全国的に見てもこうした支援団体間の連携はほとんど整っていないそうです。メディアや他府県の支援団体からの問い合わせも多く、北村さんは「一朝一夕にできることではないかもしれないけれど、このモデルが全国に広がっていってほしいと思います」とおっしゃいます。

なんたんユースHUB創設までの経緯をお聞きする中でわかったのは、その基盤にはこれまでフリースクールを運営する中で北村さんが築いてきた関係性があるということでした。

目の前の子どもに必要なことをやり続けた結果、事業の形がどんどん変化していった。

学習塾にやってきた一人の男の子との出会いがきっかけで、2005年にフリースクールを開設した北村さん。


「塾なので授業は夕方からだったのですが、まずは彼が朝起きる生活をできるように午前中から教室を開けることにしました。自分たちのやり方に子どもを当てはめるんじゃなくて、子どもの様子に応じて自分たちを変えていく。このやり方は今も変わりません」


フリースクールにやってくる様々な子どもたちと出会い、学びを通じて彼らの成長・変容をサポートするべく、一人ひとりに真正面から向き合う日々を過ごします。その中で、新たな取り組みが次々に生まれました。そして2008年、学びの森は京都府教育委員会の認定を受け全国初の「認定フリースクール」となります。

不登校・ひきこもりの経験者が、支援者が集うフォーラムを企画する

2010年には、支援者の勉強会「なんたんラウンドテーブル」を主催。不登校・ひきこもり支援に携わる者が集まり、肩書きのない一人の人間として「支援とは何か」を問い直す場として、その後もテーマを変えて毎年開催されています。様々な視点からの意見を知り、支援の意味を根底から見直す取り組みとして各所で話題に上りました。

そして、ここから発展した公開イベント「不登校・ひきこもりを考える京都フォーラム」は、なんとフリースクールの生徒と卒業生が企画し、実現したそうです。支援を受ける側である生徒たちが支援者の議論の場に参加し、企画まで行ったという事実に多くの関係者が驚き、学びの森での支援のあり方に注目が集まることに。

他にも、信念を持った職業人を招き生徒たちと机を囲んで話をしてもらう「森の出会い場」や瀬戸内海の離島にある家島高校との交流など、様々な取り組みがメディアに取り上げられています。


「元はといえば、全て目の前の子どもにとって必要だからやったことの積み重ねなんです。卒業生の進路相談のために就業支援センターへ出向き、ある生徒の医療サポートをバックアップするために病院のメンタルへルス科へも足を運び……このようにフリースクールの生徒たちと向き合う中で自然とつながりができていき、京都府教育委員会や亀岡市養育委員会、京都府とも定期的に意見交換をするようになりました」


人とのつながりから新たな学びが生まれ、育っていく。

目の前にいる子どもたちにたっぷりと時間をかけて寄り添いながら、その一方で社会の仕組みを変えるために奔走する、そのエネルギーは一体どこから湧いてくるのか……どんな話題でも朗らかな笑顔でお話してくださるので当たり前のこととして受け取ってしまいそうになるのですが、並大抵の思いでは実現できないことだと感服します。

学びの森では、この秋新たに「親子探究塾」という親を対象とする講座が始まるそうです。まさに今準備が進んでいるためここでは詳細をお伝えできないのですが、ご興味のある方はぜひ問い合わせてみてください。

並行して放課後等デイサービス事業(発達障害のある就学児向けの療育の場)のスタートも決まっており、今も支援活動の幅は徐々に広がっています。その方たちとの関わりを通して、また新たな動きが生まれていくことでしょう。

この秋の新聞連載や新事業によってまた新たなつながりが生まれ、森の営みが広がっていくのではないかと、私も楽しみでなりません。


─ オヤノミカタ 代表・松井より ─

北村さんの活動がさまざまな人を惹きつけてやまない理由は何なのか。それは、皆さま自身で見つけていただければと思っています。オヤノミカタは引き続き、学びの森さんと一緒に親子の学びを考えていきます。現在、親子で参加できるイベントを企画中。色々な視点から、色々な題材で、学べる場を作れないか……と構想を練っています。一緒にイベントを作っていただける方や学びのアイディアを募集中。ご興味をお持ちの方はぜひお声がけください。


 

京都府教育委員会認定フリースクール
学びの森
http://free.manabinomori.co.jp/

京都府脱ひきこもり支援プロジェクト
なんたんユースHUB
https://youth-manabinomori.amebaownd.com/