【対談レポ1・後編】成功事例に学ぶ~メディアが取り上げたくなる事業の作り方【オヤノミカタ交流会】

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前回に引き続き、オヤノミカタ交流会vol.2で行われたトークセッション「メディアが取り上げたくなる事業の作り方」後編をお届けします。

☆前回記事はコチラ
http://report.oyanomikata.com/report155

■ゲストスピーカー:
はたけのみかた代表 武村さん
カンブライト代表 井上さん
■進行役:
オヤノミカタ代表 松井


上手なコラボの作り方 ―「強み」を活かし、互いを活かす


松井:井上さんは、飲食店さんやメーカーさんなどと上手にコラボされてますよね。その辺りのお話をお聞かせいただけますか。

井上:僕の場合は、コラボ前提で事業を考えています

松井:コラボが前提、とは。

井上:僕は缶に色んなものを詰めることはできるけれど、物も食材もレシピも持っていない。だから持っている人とコラボする。自分に「ない」ものが「できる」人に来てもらうんです。来てもらうためには、誰でも来やすい雰囲気でないといけない。何かしたい人が集まりやすい場の提供、プラットフォームを提供しているんだと思っています。

松井:なるほど。色んな人がコミュニケーションしやすい場を作っているんですね。そしてコラボして、お互いの強みを生かす。

井上:そう、上手にコラボするためには、自分の強み・弱みをハッキリさせることが大切です。僕も最初は格好つけたくてアレコレやってましたが、上手くいかなかった。もっと自分が持っているものを、どう事業に反映できるかを考える方が断然いいと気づきました。「僕たちはこういうことをやりたい」を明確にしておけば、興味を持った人が向こうからやってくる。するとコラボが実現しやすくなります。

松井:「向こうからやってくる」って理想的ですね。そういえばmanmaも、京家さんとコラボした商品ですよね。

武村:はい、京家さんっていう、京都にある赤ちゃん連れに人気の旅館とコラボした商品です。このコラボはどっちが先、というのでもなく、話を進める中で自然に生まれてきた印象です。私の場合は離乳食の知識がゼロの状態から始めたので、専門家の方に随分お世話になりました。知らないから頼ることが出来たというのもあると思います。

松井:全く知らない領域ですからね。私も元々は広告代理店に勤めていたので、全く違う領域にいました。不安もありながら、知らないからこそ逆に聞けるところも多かったです。

武村:私も、最初にmanmaを販売するときは不安でした。でもコラボによって、京家さんからは旅館ならではの技術、私たちにはない専門的なノウハウをたくさん提供していただきましたし、ユーザーの方からは「こういうものが欲しかった」と言っていただけて、不安よりも期待や使命感の方が大きくなりました。

井上:manmaは商品だけでなく、取り組み自体を応援してもらっている商品ですよね。

松井:いい商品ですよね。やっているうちに、頼っているはずが段々と頼られるようになる。「いいものは持っているけれど、どうすればいいか分からない」というような個人や小さなところほど、コラボし合うと、お互いの良さを引き出すことが出来そうですね。

メディアにどう仕掛けるか ―対照的な2社の「戦略」


松井:話は変わりますが、メディアに仕掛けるうえで意識されていることはありますか。

井上:僕は自分から仕掛けていくというより、来たときのために「ワクワク感」を用意するようにしています。缶詰って、例えば某お菓子の缶詰があるでしょ。チョコのやつ(笑)

松井:エンゼル送ってもらえるやつですね(笑)

井上:それです(笑)。あれって、開けること自体がワクワクするでしょう。何が入っているのか分からない。缶詰自体が、そんな「ワクワク感」を持った存在だと思っています。だからメディアが来たときも、「おっ!」と思ってもらえるような驚きの仕掛けをいっぱい作っておくようにしています。それと初期のハードルを下げること。「モヤさま」のロケでも、「出来ない」ことがなく「いつでも出来ます」という状態だったので、ロケが決まったようなものです。あらかじめハードルになるようなことをこちらで想定しておけば、話はスムーズです。

松井:では「自分がメディアへ行く」ではなく「メディア側が来る、来たくなる」ことを想定して戦略を立てている訳ですね。武村さんはどうですか。

武村:実は・・・メディア戦略、してないんです。

松井:興味深いですね。それはなぜですか。

武村:というより、積極的な販促活動をしていない、と言った方がいいかもしれません。manmaは旬のお野菜を使用していて、気候ごとに収穫量が変わるので量産ができません。今年の滋賀は積雪が凄かったので、畑が全滅した方もいらっしゃるんです。もし、私たちがメディアにアピールをして売れたとしても、対応できなければ信頼をなくします。「信頼」で成り立っている以上、信頼を失うようなリスクは避けなければいけません

松井:では基本的には、メディアに仕掛けたり、広告を打ったりというようなことはされないんですね。

武村:はい、メディアもそうですし「お金を払って広告する」ことは一切してません。それよりも、コンセプトワークや商品開発に注力しました。商品化までに産婦人科医の方から栄養士さん、沢山のユーザーの方に試食していただいて、manmaが出来上がりました。パッケージも、凄く気をつけたところです。多少コストがかかっても、デザイン部分を妥協しなかったので、見た目から興味を持っていただいた方も多いみたいです。

松井:manmaのパッケージ、秀逸ですよね。ここに売れるヒントがありそうですね。

なぜ、manmaは売れるのか ―たかが見た目、されど「見た目」


松井:せっかくなので、manmaのデザインのポイントを伺ってもいいですか。

武村ポイントは「袋」です。携帯する離乳食は、外に持っていくことを想定しています。そのため「軽くて分別しやすい」ことが大切です。また透明なので、見た目から季節の移り変わりが分かります。よく「写真と中身が違う」ということがありますが、manmaは見た目そのものなのでギャップがありません。

松井:何気ないですけど、凄いことですよね。中身に自信がないとできない。あと、このまま自立するのが凄いなと思いました。

武村:袋ですけど、机にポンと置けますよね。あとは外で使うとき、他人の目線が気になるものです。見た目がかわいいと、鞄にあるだけで嬉しくなったり、自然と人に勧めたくなったりしますよね。市販の離乳食を与えることは、後ろめたいものではなく、親もこどもも嬉しいものであってほしい。そう思っています。

松井親の心のハードルを下げているんですね。「つい手に取って買いたくなる」デザインだから、誰に見られてもOK。

井上:このデザイン、製造コスト的にも素晴らしいデザインですよね。缶詰は中身が見えないので、中身が違うなら、外も全部作らないといけない。でも、これは透明だから1パターンでいいんです。なんて凄い。凄すぎて嫉妬したぐらいです!(笑)

武村:ありがとうございます(笑)意外と、男性が興味を持ってくださることも多いんですよね。ご夫婦で眺められて、ご主人の方が「買おう」って言ってくださるとか。

松井:「旦那さんが奥さんにプレゼント」という事例もありますよね。「見た目」はきっかけでしかありませんが、凄く重要ですね。

今後の事業展開 ―全国、海外、ひろがる構想


松井:最後に、今後の構想をお聞かせください。

井上:僕は、缶詰のプロデュース業を手掛けていきたいです。缶詰って、生産者の顔が見えづらいものでしょう。それを覆したいんです。全国各地に缶詰ラボを作って、全国各地の農産物を缶詰にして、顔を見ながら選択できるように出来たらいいなと思います。あと缶詰は海外にも持って行きやすいので、海外展開も考えています。

松井:壮大ですね。それも事前に想定されているんですか。

井上:ある程度は。今、京都の缶詰ラボで、加工する人にとっては便利なシステムが出来上がっています。これを使ってもらって、いいものができたらどんどんシェアしてもらいたいです。自分がゼロから始めた分、相手がつまづくポイントは分かっているし、缶詰ラボや僕の知識を使ってもらって、色んな商品開発のお手伝いをしていきたいですね。

松井:武村さんはどうですか。

武村:私も、構想は沢山あります。今は離乳食だけですが、次のステップにつながる商品や、おやつも考えています。でも、事業を進めていくうえで唯一、大切にしていることがあります。

松井:何ですか。

武村:どんなときも「農家さんのために」という、自分の想いからズレないことです。はたけのみかたは小さな会社ですが、メンバーの中で意見が食い違うことは基本的にありません。それは「何のために生きていくのか」という人生観が同じと言ってもいいかもしれません。私たちは、「農家さんたちと、これからどんな社会を作っていくのか」というのを常に描いて事業をしています。構想は色々あっても、立ち返る場所は同じです。そこをぶれないようにしながら、これからも農家さんやユーザーさんと共に歩んでいけたらと思います。

松井:素敵ですね。はたけのみかたとカンブライト、今後の展開がますます楽しみです。


以上、オヤノミカタ交流会vol.2の特別トークセッション「メディアが取り上げたくなる事業の作り方」でした。

事業の作り方、メディア戦略、コラボの仕方・・・非常に沢山のヒントが詰まった1時間でした。

トークセッションや記事のご意見・ご感想はオヤノミカタまで。
「次回はこういうテーマで対談してほしい」「こういう取り組みを取り上げてほしい」といったご要望もお待ちしております。