一児の母となったモデル、犬伏まりさん「あなたの人生の真ん中を走るのは、あなた」後編

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前編に引き続き、犬伏まりさんとのトークセッションをお届けします。

☆前編はコチラ↓↓↓

一児の母となったモデル、犬伏まりさん「あなたの人生の真ん中を走るのは、あなた」前編


パートナーとのすれ違い。だって自分も相手も、完璧じゃないから。

松井:私自身、主夫をやっていた時期があるのですが、実は、半年で音をあげたんです。もう無理だって(笑)そしたら、それ、あなたの仕事でしょ。だって、あなた主夫じゃないって、妻に言われたんです。
なんて冷たいんだろう…ってその時思ったのですが、そういえば自分も同じようなこと言ってたなってその時ハッとしたんです。妻と逆の立場になって初めて、それに気がついた。そこから、もう少し建設的な話をしようと夫婦で、話し合う場を持ちました。あの話し合いがなかったら、今の関係はなかったと思っています。

犬伏:私は、専業主婦の経験はないのですが、友人に専業主婦をしている人がいます。主婦業ってものすごく大変。男性は、そもそも、主婦業を仕事ととらえていないですしね。
例えば食事を作ろうとした時、赤ちゃんってものすごく泣いたりするじゃないですか。そうすると、ずっと抱っこ抱っこで、結局、夕飯の準備ができない時がある。そんな時に旦那さんが仕事から帰ってきて、『何もできてないやん』て、いきなり言われたりして…腹がたつ(笑)子育てが始まった途端、全てがうまくいかなくなることなんて、生活の中にたくさんあるんですよね。
でも、その大変さを旦那さんに分かってもらおうとするけれど、旦那さんがそれを完璧に理解するのは難しい。

松井:そうなんですよ。全部理解するのは、難しい。経験したことがないから。

犬伏:あと、そういう時って、認めて欲しい気持ちMAXなんですよね。気持ちを分かってもらおうとして、旦那さんに話すと、みんなそうだよって言われたりして…みんなってどこの家のことよ!って(笑)
本当は、第三者に聞いてもらうと1番いいのですが、聞いてもらえるところが旦那さんしかいなかったりするんですよね。

松井:経験したことのない相手の立場を想像するのは、やっぱり難しいことなのだと思います。

犬伏:男性って不器用ながらに、一生懸命、無理して奥さんに寄り添おうと頑張ったりするんですよね。一緒懸命、奥さんの話を聞いたりするけど、どうしても理解しきれなくて逆に怒られたりして…。でも、一度話を聞く!寄り添う!って決めたからには、音を上げられなかったりする。で、それが、どんどん自分を追い詰めることになって、負担になってくる。そうすると、発散する方法が変わってきて、夫婦の歯車が良くない方向に回り出してしまう。松井:男は仕事だ!って言われてきて必死でやってきたのに、子どもが生まれた途端、イクメンになりなさいって…多くの男性は、そうやって、すぐに価値観を変える方法が分からないんですよね。
私自身、相当苦労しました。
あと、男性って、言葉のカードの選び方が苦手なんだと思います。そもそも、そんなにたくさんカード持ってない(笑)

犬伏:でも結局相手がどんなにいいカードを出してくれたとしても、完全に満たされないんですよね。もっともっとって貪欲になりますから(笑)
結局は、自分の中で自分の幸せを見つけられる人じゃないと、満たされないんだと思います。

あと、私の知り合いの言葉でとてもいいなと思ったのが、

“怒りに執着しないで、違う楽しみを見つけられる子育てをしたい”

という言葉です。
怒りにしても何にしても、1つのことに執着すると、自分の心の中がそれだけで溢れかえってしまう。そんなの、もったいないですよね。だから、執着しないで、思い切って、パッと手放してみる。
あと、私の中で大きいのは、自分も相手も完璧じゃないと、認めること。それを認められたら、足りないところから少しずつ、2人で埋めていけるから。

メディアに縛られないで。できない自分も、認めてあげて。

犬伏:男性は子どもが生まれたら「イクメンじゃなきゃいけない」とか、女性だったら「いい母親じゃなきゃいけない」「いい母親でいるのが当たり前」とか言われますよね。
あとは、子育ての成功体験とか、シングルマザーは世間からこう見られるとか…そういうのってメディアが作り上げたものなんですよね。メディアが勝手に作った理想であったり、価値観であったり。

モデルだって、撮影の時はジャケットの後ろをつまんだりして、いかに綺麗に見せるかで作っていますから。作り物です(笑)

だから、子育てにおいても、パートナーシップにおいても、メディアが作った理想や価値観に縛られないでって思います。勝手に作られた、こうあるべきを追い求めて、がんじがらめになって、苦しめられるのはもうやめようって。

松井:なるほど。まずは、今、自分の中にある、こうあるべきは、作られたものなのかもしれないと、知ることが大切なんですね。その視点に触れる機会がもっとたくさんあればいいなと思います。

犬伏:いい母親とか、イクメンとか…無理して自分じゃない誰かになろうとすると、すぐに自分を見失っちゃうんですよね。で、誰かと比べてできない自分、持ってない自分に落ち込んじゃう。そうじゃなくて、できない自分、持ってない自分も認めてあげることが大切だと思うんです。

私は今は、これができるけど、あれはできない、でもいつかやってみたい!やってみよう!…そういう考え方に変えていく。そうすれば、自分で自分を幸せにできるようになるんだと思います。

大江:私も、できない自分、持ってない自分を認めてあげることって、本当に大切だと思います。子育てにおいてもパートナーシップにおいても、できないことに落ち込むというのは、結局母親とは、妻とは、こうあるべき…に縛られて、勝手に自分に期待をしているからなんですよね。

母親として妻として、本当に自分は、それができるようになりたいの?やってみたいの?ただ、やらなきゃいけないって思っているだけなんじゃないの?って、立ち止まってみるといいのかもしれませんね。

犬伏:そうですね。母親として、妻として…作られた理想や価値観に自分を当てはめてしまうと、勝手に過大評価しちゃうんですよね。自分に期待しちゃう。求められるように、私はできるはずだって。一生懸命、母の理想の娘をやっていた私のように。

家族は「個人」の集合体。パートナーも、こどもも、自分自身も。

松井:パートナーシップにおいて、相手にも、自分と同じレベルで考えることを求めると、それがすごくストレスになることがありますよね。なぜなら、相手は自分が求めるように、思い通りにならないから。
でも、相手に何かを求めるということは、結局相手をコントロールしようとしてるということなんですよね。

犬伏:そうですね。家族って、距離が近すぎるので、遠慮なしで多くを求めてしまいがちなのですが、結局、夫も妻も個人。子どもも個人。全く別の人間。家族は、そんな個人が集まって、出来上がったものなんですよね。

松井:だとしたら、パートナーや子どもの全てを分かろうとするなんて、おこがましいですよね(笑)

犬伏:本当にそう思います。家族の中でも、個を大切にすることって必要だと思うし、一人、自分がどうあるかがとても大切だと思っています。

大江:周りの人の軸で生きるんじゃなくて、自分の軸で生きるということですね。たとえ、家族の中であっても。

犬伏:そうですね。で、やっぱり結婚生活で、養う、養われるはもう死語だなって思うんです。たとえ専業主婦で、外でお金を生み出すことがなくても、自分で生き方の工夫を楽しめる時代なんじゃないかなって思います。やっぱり環境はどうであれ、自分次第。

最後に伝えたい。「自分の人生は、自分でつくっていかなきゃ」

犬伏:最近は、悟り世代といって、人と争ったり、揉めたりするのは面倒臭いから、1人でいる方が楽だと思っている20代の若者が多いと言われていますよね。恋愛経験もゼロの人が多いとか。お金もたくさんいらない、だから働く意味もわからない。結局それって、大人が子どもたちの選択肢を奪ってきた結果なんじゃないかなって思うんです。
人と争ってはいけません。揉めてはいけません。その価値観を与えてきたことで、人と付き合うこと、イコール、マイナスの部分が多いというイメージを与えてしまったんじゃないかと。

いやいや、ちがうよって。人は人と関わり合いながら生きていく方が、絶対に楽しくて、素敵な人生になる。

で、人と関わる時に、自分が持っているたくさんカードの中から、どのカードを切っていくかを、自分で選んで、それを楽しんだ方がいい。たまには、ファイトしてもいいんですよ。

でも今は、そういう小さなファイトを経験せずに大きくなって、抑えてきた心の中の怒りやモヤモヤが溢れかえっている人もいる。それで次に起こすアクションが、すごく極端なところに来ちゃってると思います。

でも、なるようになって、今こんな時代になってるんですよね。

だから時代のせいにして、悪いことを想定したら、きっとこれからの時代も悪い方にしか行かない。だったらもう、そんな想定やめる。文句いわない。制度や社会のせいにしない。

もう、誰かに何かをしてもらう時代じゃないんです。

自分の人生は、自分で作っていかなきゃ。

だから、子育て中の人は、『子どもはサイドカーに乗せて走っている』くらいの気持ちが丁度いいんじゃないかなって思うんです(笑)。子どもは運転席じゃなくて、隣に乗っているくらいの感覚。

だってあなた自身の、人生という名の道を走るのは、他の誰でもない、あなた自身なのだから。


トークを終えて。犬伏さんが教えてくれたこと。(大江)

犬伏さんは、きっと「これでもか」というくらい、自分自身を信じ抜いている。

そんな犬伏さんが発する言葉には、いつでも揺るがない自信が漲っていて、トーク中は、爽快な「犬伏旋風」をビュンビュン巻き起こしていた。で、どんどん周りの人を巻き込み、惹きつけていく…そんな人だった。

また、犬伏さんは常に、「自分」という存在そのものから、少し距離を置いて「自分を客観視する」という視点を持っているのが、とても面白いと思った。「感情」は、「心身」に絡みついて、時に制御できないものだと思っていたけれど、「感情」は「感情」として、ただそこにあるもの…そんな「心身」から少し切り離したような捉え方は、私にとって目からウロコだった。

犬伏さんのように、「個」を大切にして生きる…そんな生き方に憧れている人は、きっと多い。なぜなら、「子育て」や「パートナーシップ」など、誰かと近しい関係を築けば築くほど、自分という「個」を押さえ込んだり、打ち消したり、相手に合わせることで、相手の価値観の中に、埋もれさせたりしてしまいがちだから。

そして、気がつくと、「他人軸」で生きることに慣れてしまう。

でも、犬伏さんは、決してそんな生き方や、今現在そうやって生きている人を否定しているわけではない。なぜなら、犬伏さん自身が、幼少期から長い間ずっと「他人軸」で生きてきた人だから。「他人軸」の生き方を否定すると、過去の自分をも否定しているような気になるからかもしれない。

でも、そんな犬伏さんだからこそ、全精力を込めて伝えたかった想い…

誰かによって作られた理想像に縛られるのはやめて、また誰かによって与えられた「こうあるべき」という呪縛から自分を解き放とう。

そして、自分の幸せは、自分で作っていこう。

誰だって、自分の幸せは、自分で作ることができるから…

そんな想いが、

『あなた自身の、人生という名の道を走るのは、他の誰でもない、あなた自身なのだから。』

この最後の言葉に全て込められているような気がして、その時の犬伏さんの爽快で力強い声が、今もずっと私の耳に残っている。


☆協力:株式会社岡村製作所・WORK MILLプロジェクト
Open Innovation Biotope “bee”
http://workmill.jp/bee/

☆撮影:上田涼子
kikka’s airy photo works
https://ameblo.jp/citrus-blossom/