【前田めぐる×上田涼子】「現代は、DoよりもBeが重要な時代」実践者に聞く、強いフリーランスの条件とは

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今回のトークセッションのテーマは「親の味方となる時間 vol.2 ~フリーランスという生き方~」。
まずは、ゲストスピーカーのお二人のご紹介です。

前田めぐる
コピーライター・プランナー。
大学卒業後、京都で企画制作会社に勤務。企業の販促支援や自治体の公的事業にも携わり、結婚と同時に独立。 フリーランスのコピーライター、プランナーとして、活動しながら2人の子どもの子育て、また、実母の在宅介護・在宅医療を体験する。どのような環境におかれても自分らしく働けるようにと、フリーランスとしての体験を生かしたワークショップなども行っている。

上田涼子
フォトグラファー、ライター、セミナー講師。株式会社ジェネラリスタ代表取締役。
写真の撮り方やSNSでの発信の仕方などを始め、各種セミナー講師として活躍。専門用語を使わない、丁寧で判りやすい説明には定評があるため、受講年代も10~70代と幅広く、企業や行政機関でのセミナー開催実績も多数。ソーシャルメディアののべフォロワーは約2万人。自然体でバラエティ豊富、独自視点の発信は根強い人気がある。

現在「働き方改革」「副業」「家庭との両立」などで注目されている、フリーランスという生き方。
フリーランス歴の長いお二人に、フリーランスを取り巻く環境や、生き残っていくための条件、また実情を伺いました。


働きやすい?働きにくい?現在のフリーランスを取り巻く環境とは

松井:まずは、フリーランスを28年間続けてこられた前田めぐるさんにお聞きしたいのですが、前田さんがフリーランスを始められた頃と現在とを比べて、フリーランスを取り巻く状況の変化はありますか?

前田:当時は、とにかく周りに迷惑をかけないように…と思っていました。子どもが小さかったので、子どもの病気などを理由にクライアントに迷惑をかけてはいけない、と。

でも最近は企業も個人も、当時に比べてかなり融通が効くようになったと感じています。働き方が柔軟になってきて、社会全体が寛容になってきましたね。だからフリーランスも、一人で抱え込まず、周囲と協力するといい。甘えるべき時には甘えることも大事だと思います。

松井:働き方に関する意識が、時代とともに変わってきているんですね。上田さんは、どういったきっかけでフリーランスになったんですか?

上田:きっかけは、2008年に、ブログを書き始めたことです。その頃は、会社員をしていたのですが、何か新しいことを学んで身につけて、独立しようか転職しようかと考えていた時期でした。元々写真を撮るのが好きだったので、その写真とともに、記事を書いて…とりあえず発信することを始めたんです。当時は匿名で顔も一切出さずに。

それで、その時人気アメブロガーだった方から、私のブログの写真を見て、ブロガー向けの写真講座をやってくれないかと言われたんです。当時、プロではなかったけれど、よし、やってみようって(笑)当時はまだガラケーやコンパクトデジカメでの撮り方講座を開催していました。

その後会社を退職して、フリーランスに転身。発信は、アメブロの他にFacebookでも開始し、現在も定期的に発信をしています。私の場合は、そうやって発信を続けてきたことで、フリーランスとしての仕事の幅が広がってきたという感じです。現在は写真の仕事に留まらず、色々なお仕事をさせていただいています。

松井:それが現在は、フォロワー数2万ですからね。上田さんの、とりあえずやってみよう!という気持ちが行動につながり、結果まで結びついているのがすごいと思います。

強いフリーランスであるための、3つの条件。SNSは強力な武器。

松井:フリーランスって、社会では立場的に弱くなりがちなのですが、そんな中でどうすれば長く続けていけるのでしょうか?続けて行くための、条件…みたいなものがあれば教えてください。

前田:1つ目は、決めることですね。独立すると、決断を必要とすることが次から次にやってきます。自分で決められる人になること。決めたら、やり遂げること。

2つ目は、変化し続けられること。ブルーオーシャンという言葉がありますよね。この分野には、まだ競争者がいないというところ。しかし、ビジネスは模倣されながら展開されていくので、やがて必ず競争になります。その時、どれだけ変化し続けて、他人が真似できないものを作るかです。

1つの成功で安住しないで、常に好奇心を持つ。なんでも面白がる。誰も気づいていない新しいところに行って、新しい人と出会う。そんな風に変化を楽しめることが大切だと思います。

3つ目は、先ほど少し言いましたが、甘えるべき時に甘えることも大事です。そして、自分も周りの人たちから甘えられ、頼りにされる人になる。依存ではなく、お互いに自立した人どうしの信頼関係を日頃から築いておくこと。そういう仲間、コミュニティーを作っておけるといいですね。

松井:めぐるさんは、本当に好奇心の塊のような人ですよね。上田さんは、強いフリーランスの条件とは…どのように考えていらっしゃいますか?

上田:私も同じく、しなやかに変化できる柔軟性と、誰かに委ねることなく、すぐに自分で決断できる、という意思決定の速さだと思います。目の前のことに、自分の気持ち1つで決められるかどうか。

あとは、自分の強みを不特定多数の人に知ってもらうということが大切だと思います。そのために、SNSを使わない手はないなと。その強みを知ってくれた人から、反応があったりして、思わぬところで事業になったりするんですよね。結局、強いフリーランスって、発信できる人だと思うんです。そのために、自分の価値を高める材料が、自分の中に、どれだけあるかが重要だと思います。

松井:確かに、上田さんの発信力はすごいですよね。上田さんのSNSでの投稿を拝見していると、たくさんフォロワーからのコメントが入っていて、そこでコミュニケーションが成り立っているので。でも、自分の強みって、自分自身を客観的に見れる人だったり、自分自身を見つめ続けられる人だったりしないと、なかなか発見できないですよね。

上田:そうですね。自分は当たり前にやっていたことが、実は他人から見ると、ものすごいことだったりします。すごいね!って言われて、ポカーンとするようなこと、ありますよね(笑)それが、その人の魅力であったり、強みであったりするんですよね。でもそれは自分1人じゃ分からないので、私が開催するセミナーでは、必ず第3者に見てもらって、すごいと思ったことをフィードバックするようなワークをやっています。

気になる、フリーランスのストレス事情。「自分」を発信するコツ。

松井:フリーランスは、決断の連続だと思うのですが、決断することに対するストレスというのは感じたりしますか?

前田:私は、ストレスが生じるようなことをあらかじめ減らすようにしています。子育てをしながらフリーランスをしていると、立ち向かわなければならない壁って、制度がどうこう以前に“こどもの発熱と暴風雨”なんですよね。発熱と暴風警報が出た日。この2つがあると、保育園に預けられません。つまり、環境に左右されること自体が大きなストレスになるんですね。

それなのに、なぜだか一般的に「フリーランスは小回りがきく」と思われています。だから初めてのクライアントには最初に「フットワークは期待しないでください」と言うようにしました。そして、自分がそこに行かなくてはいけないような仕事や打ち合わせが多い仕事は引き受けないようにしました。大きな仕事も手放して、ノンストレスで仕事ができる環境を自分で作ったんです。

松井:なるほど。これは私自身の話ですが、会社を立ち上げて半年から一年くらい、無理な条件で自分自身を縛っていることに気がつかなかったんです。自分の中に、どんどん「やらなきゃいけない」ということを増やして、それが足枷になっていたんですよね。

でも今は、やればできるという考え方は手放しました。無理しないと続けられない事業は、そもそも立ち上げない。それがとても今楽に感じています。会社経営も、フリーランスという働き方も、似ているなと思っていて、そういう潔さって、必要なんじゃないかなと日々感じています。

上田さん、以前、「大きな目標を立ててそこに突き進むよりも、今を積み重ねていく」と仰っていましたよね。わりと近しい考え方なのかな、と。

上田:自分のアイデアを現実化するのが得意な人っていると思うんですが、私自身はそのことに関してあまりセンスがあるとは思っていなくて。どちらかというと、受け身で、周りの状況を見ながら「私はこういう人間です」と発信をすることが好きなんですよね。

で、それを見た人が「この人はこんなことができるんじゃないか」という声かけをしてくれて、新しいことを始めるパターンが多いですね。相手に委ねる…という感じです。だって、私が自分でできると思っているスケールと、人が私にできると思っているスケールとは、全然規模が違いますから。

松井:周りが認めるから、それがブランドになる。人に認められて、仕事に直結する…それって、かなり理想的ですね。

上田:私自身、自分から仕掛けるのが得意じゃなくて。「こうなったらいいなぁ」と思いながら、発信をしています。

松井:なるほど。会社もフリーランスも、営業ありきじゃないと成り立たないというのは、弱い気がしますね。上田さんのように、周りが価値を認めて、そこから事業に発展していくというのは理想的だと思います。

上田:だから私にとって、発信…特にFacebookでの発信は、とても重要で、命綱のような感じなんですよね(笑)それで、発信するときに気をつけているのは、こんな仕事をやっています、やりました…というような“Do”ではなくて、私はこんな人間です、こんな考えを持っています、こんな思いを持って、仕事をしています…というような“Be”の部分なんですよね。

今は、Doだけでは、なかなか人が集まらない。大事なのは、自分のBeを言語化して発信して、そこに共感してくれた人を集めること。何より、共感してくれた部分、つまり根っこの部分が似ていると、その後に余計な説明がいらないので、楽なんですよね。

先日、とあるインフルエンサーの方が「起業家は、これから思想家に近づいていく」つまり、この思想があって、この思想が共感を呼んで、事業になっていく…これからはそういう時代なんだと仰っていましたね。


「一人で抱え込まず、甘えるべきときに甘えることも大事」

「決断する力、変化し続けられる力、周囲との信頼関係」

「自分は当たり前にやっていたことが、実は他人から見ると、ものすごいことだったりする」

「SNSを発信源に。やったこと(Do)ではなく、自分そのもの(Be)を出していくことが重要」

「フリーランスの壁は、“こどもの発熱と暴風雨”」!!

あちこちから、名言がぽんぽん飛び出すトークセッション。
まだまだ続きます。後編をお楽しみに!


■撮影:河村 奈美

■協力:おでかけmoaVOID A PART株式会社MegamiNPO法人 くさつ未来プロジェクト